VENETOR(ヴェネター)は、パッシブスピーカーの新製品「PS401」を発表いたしました。
PS401は、VENETORが磨き上げてきたテクノロジーと、厳選されたコンポーネントを惜しみなく投入したパッシブスピーカーです。
本記事では、その中でもテクノロジーに関することを詳しく解説します。
FIR Filter Correction|個体別測定に基づく補正データ
スピーカーの理想形を追求する上で、私たちが避けて通れないのが「個体差」という現実です。
どれほど精緻な設計と高精度な部品を用いても、ユニットの特性、筐体の共振、組み立て公差は一台ごとにわずかに異なります。量産品であればこの差は許容誤差として処理されてしまう。しかしPS401では、この「一台ごとの個性」に正面から向き合うことを選びました。
その答えが、出荷時の無響条件下での全数測定、そして個体ごとに生成されるFIR補正フィルターです。
カタログ上の理論値でも、代表サンプルの平均値でもない。あなたの手元に届く「その一台」の実測データをもとに、専用の補正フィルターを作成してお渡しします。ハイエンドスピーカーの世界でも、ここまで徹底した個体別補正を標準で行う例は多くありません。
さらに私たちは、インパルス応答の加工や補正フィルターの生成のために、専用のツールを独自に開発しています。市販の自動補正ソフトウェアに任せるのではなく、時間軸レベルでスピーカーユニット固有の振る舞いを解析し、どこをどのように補正すべきかを一台ずつ判断する。単に周波数特性を平坦に整えるだけではない、より本質的なレベルの補正を可能にしています。
生成されたフィルターは、汎用性の高いWAV形式で提供されます。Roon、Eversolo、HQPlayerをはじめとする、FIR畳み込みに対応したハイエンドな再生環境で、そのままお使いいただくことができます。
「最小位相特性」への収束がもたらすもの
今回の補正における技術的なハイライトは、全帯域を最小位相特性(Minimum Phase)となるよう整えた点にあります。
マルチウェイスピーカーでは、クロスオーバーネットワークの影響により、帯域ごとに位相が回転し、各ユニットからの音が時間的にずれて耳に届きます。このずれは音像のぼやけや定位の曖昧さとして現れるため、位相の整合はスピーカー設計における永遠の課題のひとつです。
PS401ではこの位相の回転を限りなく抑え込み、振幅と位相の両面が整った状態を目指しました。その結果として得られるのは、複数のユニットが鳴っていることを意識させない、点音源的なまとまりのある音像です。フルレンジスピーカーが持つ純度の高い定位感を、2ウェイの広帯域再生と両立させる。これは小型スピーカーにとって、ひとつの到達点だと考えています。
測定という工程を経て届く、一台分のデータ
すべてのPS401は、一台ごとに無響条件で測定され、その個体差が記録されます。この工程は決して効率的とはいえません。しかし、理論値ではなく実測値に基づく補正データをお渡しすることは、私たちの品質に対する姿勢そのものです。
なお、正確を期すために明記しておきます。PS401はFIR Filter Readyの設計であり、補正フィルターのデータは標準でお渡ししますが、フィルターがスピーカー本体内部に組み込まれているわけではありません。
RoonやHQPlayerなどの再生環境側でフィルターを読み込ませていただく方式です。ご自身の環境に合わせて適用のオン・オフを切り替えられる、という柔軟さもこの方式の利点です。
数字とグラフが示す、小型スピーカーの到達点
私たちは、聴感上の評価だけを製品の根拠にはしません。
無響条件で測定された客観的なデータこそが、PS401が単なる「小型の趣味的スピーカー」ではなく、メインシステムに匹敵する精度を持つモニターとして機能する理由を示しています。
振幅特性|40Hzから30kHzまでの広帯域レスポンス
まずご覧いただきたいのが、振幅特性(Amplitude)のグラフです。
4インチ・ウーファーを核とするコンパクトな2ウェイとして、広帯域にわたるバランスのよいレスポンスを実現しています。
低域は40Hz付近まで。
2基のパッシブラジエーターと、共振を抑える10mm厚アルミ筐体の組み合わせにより、このサイズからは想像しにくい低域の伸びを確保しています。パイプオルガンのペダル音やコントラバスの基音など、低域の「土台」が見通しよく描き出され、音楽全体の輪郭が明確になります。重要なのは、量感を誇張するのではなく、フラットなバランスの延長として低域を伸ばしている点です。
高域は30kHzまで。
AMT(Air Motion Transformer)ツィーターの採用により、30kHzという超高域までレスポンスを維持しています。可聴帯域を超える成分の再生能力は、そのまま可聴帯域内の倍音の滑らかさや、ハイレゾ音源に記録された空気感、ホールの残響の質感の再現性につながります。
そして全帯域の均一性。
100Hzから20kHz以上に至るまで、大きなピークやディップのない平坦な特性を維持しています。特定の帯域が強調されないということは、録音に含まれる情報を色付けなく再現できるということ。モニター用途に求められる「真実の音」は、同時に長時間のリスニングで聴き疲れしない、自然な音質の土台でもあります。
位相特性|時間軸の整合が生む音像の実在感
周波数特性が「音のエネルギーの正確さ」を示すのに対し、位相特性は「音が出るタイミングの正確さ」を示します。そして私たちの聴覚は、音像定位や空間の広がりを認識する際に、この時間軸の情報を大きく頼りにしています。
PS401では、ウーファーとAMTツィーターのクロスオーバー付近(3kHz帯)においても、位相が急激に乱れることのないよう丁寧にコントロールしています。3kHz前後は人間の聴覚が最も敏感な帯域であり、ここでのつながりの良し悪しは、ボーカルの音像の実在感に直結します。
各ユニットから放たれる音が、リスナーの耳により正確なタイミングで届くよう設計されていること。それが、楽器の位置関係が手に取るように把握できるシャープな定位と、スピーカーのサイズを感じさせない奥行きのあるサウンドステージを支えています。
振幅、位相、そして個体別のFIR補正。
これらが一体となって初めて、PS401の「小型を超えた再生」が成立しています。数字とグラフは、そのことを静かに、しかし雄弁に物語っています。
最大1ヶ月間、お試しください
ご自宅やオフィスなど、実際にお使いになる環境で、PS401の真価をご体感いただけます。
お手持ちのアンプとの相性、お部屋での低域の出方、普段お聴きになる音源での印象。
納得のいくまでお確かめください。
*有償となります:¥10,000 (キャッシュバック特典あり)
※小売店・販売店様へのデモ貸出は、お問い合わせページよりその旨をお知らせください。
ご購入・ご相談について
VENETORでは、お客様一人ひとりの環境に合わせたご提案をいたしております。アンプとの組み合わせ、設置スペース、既存システムへの導入など、ご検討段階でのご相談も歓迎いたします。在庫状況やカラーオーダーについても、こちらより承ります。
※小売店・販売店・スタジオ等、法人様への販売はお問い合わせページよりお問い合わせください。
主な仕様
| タイプ | 詳細 |
|---|---|
| 型式 | 2ウェイ・パッシブ スタンドマウント/ブックシェルフスピーカー(専用スタンド有) |
| ドライバー | Purifi 4インチ USHINDIウーファー ×1 対向配置パッシブラジエーター ×2 AMTツィーター ×1 |
| 周波数特性 | 40Hz – 30kHz |
| 歪率 | 200Hz – 20kHz:0.3%/100Hz – 20kHz:1.0% |
| 能率 | 84dB |
| 外形寸法 | H240 × W160 × D250 mm |
| 質量 | 9kg(1台) |
| 材質 | パネル:10mm切削アルミニウム 内部:Real Schild、Calmflex FR-2 |
| 価格 | ¥1,320,000(税込)【ペア】 |
| 発売日 | 2026年8月1日 |
株式会社ヴェネターサウンド